フラギイのメモ

Twitterで書き散らしたことを体系化しようとした。

仮面ライダーアギト感想:第1・2話

ちょうど公式配信が始まったので2話単位で書いて行こうと思います。

 

概要

 この2回を観ていると他作品同様の「仮面ライダーアギト」の導入に加えて、前作クウガの続編ではないことのアピールの二つが行われている。その2つの仕事に追われているため、本作の持ち味たる人物描写や掘り下げという点についてはやや薄味な点もあるが同時にこの作品ならではの部分も随所にちりばめられている。例えば、翔一と葦原の変調をリンクさせたうえでアギトが変身する瞬間は映さず、誰がアギトになっているかわからないような演出がなされている(まあ放送前番宣なども有ったので完全な隠ぺいは出来ないが、それでも効果はある)。また、だからこそG3の視点に共感し、仮面ライダーアギトではなく「謎の生物」が現れ別の怪物(アンノウン)を撃破したという状況に没入することができる。

 また、複数ライダーはこの作品によって確立されたところが大きいが、後続の作品のように翔一君のところに他のサブライダーが挑戦しに来るのではなく、3人がそれぞれの舞台で話を進め、時に接近し時に交わるスタイルを取っていくのが大きな特徴だろう。

 

翔一

前作の五代が劇的な登場をしたのと異なり、ガス欠になったバイクを引っ張ってくるだけの翔一。この2話で彼からはこだわりの無さ、ひいては彼の内面の見え無さが見て取れる。彼は記憶喪失でも別に困らないと言う。こんなことを口走るあたり彼が尋常な精神ではないことがわかり、物語の主人公たる資質が持っていることが見て取れる。

 同時に彼がずけずけと物を言ったり人を困惑させる描写が随所に挟まれており、翔一は仙人や食わせ物であっても成人ではないことがわかる描写が絶妙だ。

 また、基本的に翔一は極めてマイペースだがこの2話で唯一真魚にだけはペースを崩されている。そしてそのずけずけと話す真魚も翔一の不用意な発言に黙り込んでしまう。この繊細なバランス感覚がどちらか一方を完全な主導にしない形になっている。

 ここで真魚の超能力が披露される。前作のクウガが怪人の存在以外は徹底して現実の世界に近い世界観が描かれていたのに対し、アギトでは全く異なる世界が作られている。こういったことからも前作の要素を引き継いで入るが物語として語ることが違ってくることを視聴者に分かりやすく伝えている。

 

氷川

 物語の一角を担う彼であるが、この2回にわたってはそれに加え前作クウガとの違いを強調する役回りを追っている。一枚岩ではない警察の面々。そして、G3チームという半ば独立した部隊の一員として動く氷川に対し、組織人として相対する北條など警察という組織一つとってもクウガと違う作品であることを表現している。こういった点から、G3の設計コンセプトなど前作から引き継ぐ要素がありながらも肌感覚として前作との違いを視聴者に伝えている。

 もっともそれに終わらず、警察としての強い使命感を持つこと、それが行き過ぎて遺族を泣かせてしまう場面があるなど彼の武骨漢である一面はこの2回で既に表現されている。

 ライバルたる北條だが、この2話で謎の怪物を倒したにもかかわらず同じ殺人が起きる=一体一体異なる殺人をしていたグロンギとは異なることを踏まえた推理を披露する。残念ながらアンノウンという新たな驚異が答えであったため彼の「氷川のでっちあげ」説は外れることになるが、彼の観察力は確かなこと・今作の怪人はグロンギと異なることを強調している。

 

葦原

 翔一に比べると人並み外れた異質な部分は見られないし、氷川のように事件の最前線に立つ人物でもない。彼はまだ本筋には絡んでいないが、見ていて特徴的なのが水泳選手(スポーツマン)、親身になってくれるコーチ(おやっさん)がいるという点だ。

  アギト、G3、ギルスはそれぞれ現在、未来、過去を表しているとされているが、そこへ行くとギルスの導入は典型的な昭和ライダー像と言える。

 しかしまあギルスに覚醒するだけでも不運なのに、いきなり覚醒するのではなくトラック事故にあってからという念入りな災難にはなんだか笑ってしまう。

 

アギト&アンノウン

 今作の敵となるアンノウンだがグロンギとはデザインも行動も大きく異なる。

 まず見た目としてはグロンギが鋭い目でありながら能面のような不気味さを持っているのに対し、アンノウンは爛々とし眼光と大きく開いた口というかなり目立つ目鼻をしている。にも関わらずアンノウンは行動や仕草では感情が感じられない。常に背筋を伸ばし厳かな雰囲気を醸し出し、人間を殺害してもなんのリアクションも起こさない。唯一感情を見せたのがアギトに対する敵意くらいだ。明らかに殺しは手段にすぎないことがわかる。

 しかも氷川を襲った際に光の輪を顕現させた(他の被害者と同様の殺害を行うことができた)にも関わらずやめてしまう。そのままその力で殺してしまうのにはなにか不都合があったのだろうか?

 

 G3とアギトのお披露目となったわけだが、G3は前半の性能試験で鉄球を受け止めるなどその身体能力・頑健性も十分に披露しているため、やられる場面が目立つが弱いというよりはアンノウンが規格外だと実感できる。

 さらにその後現れたアギトが素手でアンノウンを圧倒するところを見てG3が困惑する(この時その前に命中させたが仕留められなかった重火器に目をやる仕草が良い)ところに、視聴者の目線と一致し感情移入を誘う。

 アギトはその見た目から文明感を感じさせないが角を開く音は抜刀音だし、動きは武道の摺り足のようであるためどことなく和風を感じる。