フラギイのメモ

Twitterで書き散らしたことを体系化しようとした。

仮面ライダーアギト感想:第23,24話

G3-Xの登場回だが、何故出てくるかの説明だけでなくその周辺にまつわる人間関係がどんどん繋がっていくのでドラマ的にも非常に重要な回。

翔一
自分以上の常識外れ・小沢にはペースを握るし、いつも煙に巻く氷川の頼みを聞いてG3-Xを装着したり、主にリアクションで人間性を描写されている。
 この回ではかの有名な無免許疑惑のクレームに答えたコントが展開される。答えを言ってしまうと記憶喪失でも免許は取れる。裏を取ったならまだしも取れないに決まっているという偏見でクレームを入れるのはどうかと思うが、実はこれも偏見で事実にフィルターをかけてしまうという幻想なのではないだろうか?(司回で言語化されたあのくだり)
 個人的にはその辺はそんなに気になるのだろうかと思ってしまう。フィクションのキャラに大なり小なりアウトロー要素はあるし、それで人命を守れるなら(全く問題なしとはいわないが)まあ優先順位としてはよしと思ってしまう。
 さり気なく重要なのがG3=氷川と知り、情報戦に一歩先んじる翔一。この先どうするのか。


氷川
 自身の体より、さらに(少しナメている翔一に頼るなど)自分の意地よりもG3-Xの実証を優先する。民間人を守るだけならV1が採用されても普段の彼なら受け入れそうな気もするが、そこは小沢への敬意が勝っているのだろう。そこはそれだけ実直な人柄なのである。
 ただそれでいて、翔一くんを紹介されたときのリアクションが彼を一面的なお人好しではない、厚みある人格に見せている。露骨に翔一の装着を嫌がる氷川。それは民間人を巻き込まないためというよりを翔一をナメているような態度だが…。まあ彼が荒事に対応できる人間とは思えないのは当然。にも関わらず一発で彼の底知れなさを見抜く小沢さんの慧眼を称えるべきか

 尾室、告げ口は良くないが氷川を思ってのこと。テープに収まっている音声に気づいたりアギト世界で初めて氷川を不器用と言語化したり、ただ凡人扱いされるだけでない見せ場と有能さもあるのだ。

 今回、いつもの謀略性より真剣さを伺わせる北條。アンノウンの暴走を素直に申告しその上でG3チームにちょっかいをかけてくる。司の一件もあるだろうが、無闇に疑わないのはやはり真面目ではあるのだ。
なんとなく気になったのが小沢と会話してるとき「あなたの与太話よりはマシですよ」のあたりの語気が強い。V1に入れ込んでいるのか、アンノウンの非道に怒りを燃やしているのか。

 さて今回の主役とも言える小沢。彼女が創り上げたG3-Xは完璧だ。技術的に盛り込める事はすべて盛り込んだ完璧な存在。だがそれはおよそまともな人間には使えない。技術として搭載“できる”ことと搭載“すべき”ことの区別がついてなかったという点ではまさに小沢さんは使用者のことを考えられていなかった。優秀な創造物に心血をそそぎそこに一点の曇りもない。使用者という曇りさえもない。彼女もまた創造主であるがゆえの見落としをしているのだ。


葦原
今回あまり出番なし。翔一と同じく夢を見る場面でも穏やかな夢を見る翔一に比べてうなされているのが彼らしい。
そういえば今回3人ともベッドの中にいる場面がある。あっけらかんとした翔一。過去にうなされる葦原。ただ今の事態の為起きようとする氷川。それぞれ象徴的よね。
 G3-Xの誕生には葦原が初期型を壊し翔一が新型の性能を実証しているわけで、そういう意味でもこのエピソードは各人物が有機的に繋がっているのだ。

アギト&アンノウン
 ジャガーの波状攻撃に苦戦したフレイムに比べてハチ複数体の波状攻撃には対応できたストーム。超越精神はちゃんばらが得意?
 今回触角を失い対象がわからなくなったハチ。このことからアンノウンの感知は動物ごとに違うのは明白だ。なにせカラスやジャガーに触角は無い。何故同一人物が何度もアンノウンに襲われないのか、東京を離れるだけで済むのかの答えは「感知方法がアンノウンごとに違うのでターゲットにばらつきが出る」「東京を出る前にアギトに感知されて倒される」あたりが答えなのではないだろうか。そもそも東京を離れるというのも、人々の考えうる範囲の対応なだけで、作中でも完璧と言われたわけではない。
 ターゲットのみならず、アンノウンの警官殺害にも差がある。個体ごとに律儀なやつもいれば任務遂行をいいことに殺戮するやつもいるのだろう。それでも人間には彼らの感情を伺いしれないあたりがまさにアンノウン

 
 今回明らかとなった完璧版G3-Xの人を戦わせようと誘導するAI。これはアギトの戦闘本能と同じと言えないだろうか?人とアギトの差異はあれど、同族を守るために強引にでも戦闘に誘うという意味ではもはやG3-Xはアギトと同等なのだ。
 翔一くんがアギトの力もG3Xも使いこなせるのは当然の成り行きなのである。ただ、使いこなしつつも彼がG3-Xを怖いというのは、前述の戦いに誘うAIのシステムの呼び声がかつてのアギトの暴走に近い感覚なのかもしれない。
 ここでちょっとオートフィット機能について。私はかつて、データを取るためのノーマル型に搭載すべきであり、むしろ戦闘特化のXには無駄なリソースになるので削ぐべきでは?と思ったが、Xが実戦投入されれば常に氷川が装着できると限らない(装着者争い云々を抜いても単に病欠や負傷があるだろうし)のでむしろ必要なのだと見返してて納得した。
 上腕のナイフや太腿の拳銃など、武器の携行能力が上がっているX、小沢の言うとおり完成形たる実戦能力も上がっているということか(初期G3は稼働能力だけでロールアウト?)。もしくはアンノウン事変でかなり武装化のハードルが下がっているのか。


 V1もいい線を行っていたと思う。格闘戦で遅れを取ったものの拳銃サイズの火器の連射でアンノウンを撃退できたあたり、武器の火力と火器制御能力ではG3X以上?ソードオフショットガンやスナイパーライフルを使いこなすV1といった光景もあり得たかもしれない。


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