フラギイのメモ

Twitterで書き散らしたことを体系化しようとした。

仮面ライダーアギト感想:第25,26話

G3-Xのお披露目も終わり、また、あかつき号の謎へフォーカスされるように

翔一
 今までのあかつき号関係者といい今回の夢といい、過去にまつわる事象に出てくる性別は女性であることが多い。実はヒーローズ版の翔一はこういうところから拾ってるのだとしたらやはり根っこは同じなのだろう。
 今回のG3-Xの氷川就任劇において北條をペースに巻き込んだ翔一。一見ギャグ描写だがそれだけでなく、大半の人間は彼のペースに呑まれてしまうことが描かれている。やはり彼のパーソナルスペースは不定形の、アンノウンなのだ!

今回、
小沢:すぐに翔一の凄さを見抜く。  

北條:最初は伝聞とのギャップをすぐに受け入れるけど、実力を見誤る

氷川:未だに軽く舐めてる

と、器用さが対翔一への態度に現れてる気がする

 さて大きな目玉として、記憶を取り戻した翔一。一見物腰は変わらないが、アンノウンの目的を気にしたりかなり常人の思考になっている(以前は世間話程度の興味しかなかったのに、今回はわざわざアンノウンに話しかけている)のがわかる。やはり彼は記憶を失い、執着する過去(それによって形成される自己)がないためふわふわとした心情のまま戦える後天的仙人なのだ。この2つの翔一の違いは何をもたらすのだろう。

氷川
 独断専行してまで、翔一くんを起用しG3-Xの無実を証明した氷川。無茶は無茶だが、この逸脱した行いこそが非凡(=ヒーロー)たり得る要素かもしれない。
 以前、白倉Pも著書で語っていたが人はヒーローに型破りであることを求める。非変身ヒーローの刑事ドラマである「はぐれ刑事」や「あぶない刑事」など普通の警察とは異なっていることが強調されていることからもわかるが、優等生な刑事の活躍はヒーローたり得ないのだ。やはり組織のヒーローであってもどこか逸脱しているくらい我を通すのがヒーローの要素、ということだろう。


 小沢、能力としては上を行くとはいえかつての恩師の作品を「悪くない」という言い方はやはりきつい。前回に引き続き、機械として最善を尽くして作ったものを“あえてレベルを落とす”ことなど思考の範疇になかった彼女。思えば北條G3対タコアンノウンのときも彼の撤退は独断とはいえ、現状どの攻撃も通らないのに「根性見せろ」はちょっと無茶ではなかっただろうか。
 しかし今回の制御方法も悪い言い方をすれば、「彼女側が凡人のレベルに降りる譲歩をした」とも見れる。G3-Xが人騎一体となって彼女(創造主)の領域に追いつくのはまだこれからということなのだろう。
 また一見当たりがきついものの制御チップを作っていてくれた教授。(彼女にも傲慢なところがあるとはいえ)小沢に対して怒りや嫉妬心を顕にしつつも、制御チップを作ったり“人間臭い”。彼が人間のためのシステムを作ったのも当たり前か。

 今回北條はあまりいいところがないが、河野刑事が彼を好いている描写からいい人間であることがわかる。

葦原
 アギトを倒したあとは再びあかつき号解明に向かう彼。恩師との離別、父の死、榊の死と降りかかる幾つもの不幸を仮初めの“生きる目的”で耐える彼の精神は真相を知る日まで持つのだろうか?知った先はその後どうなるのだろうか?
 今回の対カラス戦ではいつも通りあぶなげなくアンノウンを退ける。しかしここで気になるのは戦闘中の消耗だ。今までは変身中には消耗が来ることはなく戦い自体はそつなく運べていたものの、今回になって変身中に消耗が見えるようになった。榊の言うとおり長くはない命なのかもしれない。

 しかしまあ、あかつき号の乗客は沢木が力を覚醒させた結果、力に溺れたり間が悪くアンノウンに殺されているのに葦原のせいと認識されているのはなんとも気の毒だ。あとダルメシアンみたいな柄の服がなんか笑ってしまった。彼のファッションセンスそういう路線だったか…?



あかつき号
今回初登場となる関谷と相良。アンノウンから身を匿いながらもネットワークを形成している様子。行動はアンノウンに立ち向かうヒーローチームの前進であるが、人格はその様には見えない…。何が彼らを駆り立てるのか。

アギト&アンノウン

 翔一G3-Xが格闘で相手を捌く動きと、武骨ながら打撃と重火器で押していく氷川G3-Xの動きの差別化が素晴らしい。 

 アギトを水落ちさせ、カラスを撃退したギルス。対アギト戦ではそれなりにパンチを貰いつつも圧倒してるあたり、実力は互角ながら怒りで痛みを気にせず上回っているのが見て取れる。また、カラス戦は初の飛行怪人戦であるにも関わらず難なく迎撃するあたりやはり格闘戦ではギルスの獣の敏捷性が活きていることがわかる。
 また、関谷の発した「(ギルスは)あいつら(アンノウン)にそっくり」という発言。ギルスはやはりアギトよりもアンノウン寄りに見えるのだろう。となるとやっぱり、アギトやG3と互いに怪物視するのも無理はない。

 新形態を会得したアギトも以前苦戦したカラス(しかも2体がかり)を撃退するくらい強くなっている。しかし、トリニティフォームのその動きにはどこかいつもの泰然さよりも激しさが現れてるように見える。過去の、普通人となった翔一が戦っているからであろうか。考えてみれば新形態というより既存の戦力を全て積載した姿なわけで、そう考えると“過去”を表す姿といえないだろうか。

次:
fra-gillelog.hatenablog.com