フラギイのメモ

Twitterで書き散らしたことを体系化しようとした。

このブログについて。

 作品に対して思ってたことはTwitterで概ね放言してきたかなという感も自分の中で出てきたので、それを整理してこれから先で抱くことと並べてみたりすり合わせてみたり…そういうことをするために作りました。

 

 フォーマットも決まってないのでどんどん変わっていくしどんどん継ぎ足していくと思うけど、定期的に整理できたらと思ってます。

 

よろしくね。

仮面ライダーアギト感想:第17,18話

3話構成。ここから連続ドラマ色が濃くなり前後編の区切りが弱くなってくる。

翔一
 翔一の持ち物は少ない=彼の領域は小さい、ということを表しているのかもしれない。彼は他者の居場所にはいつの間にかするっと入るが、彼自身の居場所は不定形で今ひとつ不明瞭だ。彼にはパーソナルスペースというものがないように見える。やはり彼もまたアンノウンと言える。それを示すようにおやじさんと呼ぶなと距離を取ろうとしていた花村ベーカリー店主も短い期間でレシピを渡すまでになっている。

 超能力を使わず尋問で榊の裏を暴こうとする真魚。これは単に暴きたいだけでなく、人間として優位に立ちたいという気持ちの現れかな。超能力を持ったヒロイン、という属性の割には聖人君子ではなく人としての喜怒哀楽や嫉妬がしっかりと描かれている。アンノウンの被害者が、超能力(候補)とされながらも市井の人々と地に足ついた存在と描かれてることと合わせてかんがみると、力を持っていることは即座に特別な存在であることに直結しないことだと言っているように見える。


氷川
ようやく北條の嫌味を認識する氷川。今までの描写を比べてみると以前は氷川自身に向かってのもの、今回はG3に向けてのもの。おそらく本人に向けての嫌味は真摯に忠告と捉えるのだろう
。良い意味でも武骨漢と言えるのではないだろうか。
 今回も北條と丁々発止のやりとりをする小沢だが、やや言葉がきついように見える(黙ってなさいとか)。彼女は物事を好き嫌いで決める、ある意味で人の理想の体現ではあるのだが同時に凡人にはきつく見えてしまうという現れなのかもしれない。天才というのはまさに天の存在なのだ。
 北條アギトとアンノウンは同種と捉える。それ自体は視聴者目線では間違っているが劇中アギトは変身体しか見せていないのでそういう理屈になるのも変ではない。思えばアギトもギルスも変身体では言語すら発してない。アンノウンの捕食者くらいにしか捉えられなくても当然か。
 そんな中でもG3チームの功績は褒め至らない点は厳しく言及する司は確かに物事を見れている。それに対し逐一批判を付け加える北條。確かに一度決め込んだスタンスから離れられないという点で思い込みが激しい。
 しかしまあ北條の司に対する態度、まさに氷川のアギトへの思いと同じではないか。彼も司という幻想の中で生きている。この作品はそれぞれのキャラクターがそれぞれの幻想を通した現実を生きているのだ。

葦原
 目的がないと生きていけないから、父の死因を探しているだけと明言する。そもそも父の死を聞いたときもさほどうろたえてなかった。視聴者としては、じゃあアンノウンと戦えば…とヒーロー番組の色眼鏡で思ってしまう。しかし、彼はアンノウンを感知する能力は低いし、そもそもアンノウンが出たら戦うという「後手の対処療法」は彼の人生における「打ち込むこと」に当たらないのだろう。先んじてなにかに向かうのが彼の言う“目的”なのだ。




葦原に対しお前もなにか知っているはずだと決めつける彼女。変身する条件に対し何かしら知っているはずだ
彼女のいう“あの人たち”とは?そこに葦原を誘うのはまさに異能ものの作品にしばしば見られる、主人公を非日常の戦闘チームへ誘う選ばれし集団だ。あかつき号の乗客とは身を潜めて戦うヒーローチームなのだろうか?そう思わせる場面である。

アギト&アンノウン
 3話生き残ることとなったアンノウン。アンノウンの総数はほか作品と対して変わらないがこうして長く生き延びたり逆に一話で倒される個体を出すことで緩急をつけているので怪人数が少ないと感じることはない。放送時のサイトでもアンノウンのやりくりが言及されてたし、ライダーは怪人のきぐるみに割くリソースが少ないとはよく言われる話だが、この作品でそう感じないのはこうした緩急の賜物だろう。
 榊にも北條にもアギトとは別種と判定されているギルス。やはり明確に別の存在なのか。しかし変身してるときのの方が元気だなギルス。葦原さんの方は常に死にかけなのに。ギルスの姿で生活した方が健康なんじゃ…?
 そして今回の注目点。ガスで弱っていた効果もあったろうとはいえ初マッチはG3の勝ち。アンノウンに優勢なギルスと劣勢なG3の組み合わせでこのような大番狂わせが起きるのはダイナミックな展開だ。

人が人を殺してはならないと発したヒドロゾアロード。アンノウンが人を殺すのはいいが人が人を殺すのはダメ。考えられる一番の理由としてはやはり青年は人間社会の崩壊は望んでいないということだろう。となれば考えられるのは人の間引き?超能力者だけを狙うのは彼らが人の調和を乱すからと考えているのだろうか

仮面ライダーアギト感想:第15,16話

翔一
 天気が良かったから記憶喪失からも立ち直れたという翔一。もちろん大半の人間にはそんなことは不可能だ。今の、記憶喪失となった翔一は人間的な弱さ・俗っぽさを持ちつつも物語の主人公たる特異性をも持ち合わせていることが此処でも描写されている。
 真魚の、「翔一に恋愛感情があるわけじゃないが、他の女にデレデレするのはつまんねえ」という独特の距離感が絶妙だ。今までどんなアンノウンも侵すことはできなかった美杉家の領域であるが、榊という侵入者が来たわけだ。しかしそこで居場所を侵されたのはターゲットの翔一ではなく真魚。美杉家は翔一の居場所というより真魚の居場所である面が大きいのだ。自分の居場所というものがあるかもしれないがどこか不定形で定まらない印象を受ける翔一は河野刑事のいうところの、まさにアンノウンだ。


氷川
 アンノウン以上にアギトの評判を気にしている氷川。一方で、小沢が翔一を評価し彼とのコミュニケーションを推奨してもそれに納得できない様子。(他のことなら素直に従うのに)。実直な氷川だが対人関係においては幻想というフィルターが意外と強固…?
今回、榊が氷川の顔を見て驚いてた様子から、彼女があかつき号に乗り、氷川に救助されたのは明白だ。

 前述の通り、翔一くんの底知れなさを感じとる小沢。傍から見れば昼行灯の翔一の真髄を見抜く眼力も天才たる所以か。テープの音声に気づき資料化していた尾室も今回のファインプレーだろう。そもそもこの作品で、氷川を不器用だと初めて言葉に発したのは彼なのだ。ものを見る目は有るのである。

 北條のアギト捕獲作戦は、アギトが劇中人物にとって謎の生物である以上捕らえて解明したいというのは一定の理がある。だが、このプランに固執したり特殊ガス弾を無断使用しているのは氷川に殴られてムキになっているのが大きいように見える。氷川がアギトを崇拝しているという、あながち間違ってない発言をする場面もセットなので一概に北條をどうこう言えない複雑な心境を誘う。


葦原 
 榊が食べ物をぶち撒けて追跡を撒く行為に対し食べ物を踏まないように追跡を止める葦原。こういう細かい描写が積み重なっていくのだ。
 榊の言葉を信じて氷川を力ずくで遮ってしまう葦原だが、このとき翔一と違って連行されなかったのは氷川が(自分はこの手の勤務形態を詳しく知らないが)公務中に当たらなかったからだろうか…?例えば、明確に令状を持って捜査している最中でなければ公務執行妨害に当たらないとか…?思えば氷川さんは何の仕事であの商店街に来ていたのだろう。

榊さん
 明らかにあかつき号の乗客ではあるが、佐恵子と違い能動的に翔一に会いに来ておりしかも彼がアギトであることは既知の様子。それでいて過去を隠す。彼女(とその背後にいる者)にとって翔一の動向だけを知りたいが、彼が記憶喪失だったことは不測の事態だった様子…。何故乗客ごとに翔一に対する反応が違うのか?
また、葦原の存在にはなにか思い当たるものがありながらもギルスの存在は知らない。それでいて、彼に「何かわかったら教えてくれ」と情報は(“可能ならば”レベルだが)ほしい様子。ギルスは珍しいというセリフと合わせるとやはりアギトやギルスは個人名ではなく種名なのか?であるならば翔一や葦原は生まれながらにしてアギトだったのか?何故

青年&沢木
 「人間は皆、同じ」という青年。ここで「人間は皆“愚か”」などと言った人間を侮ったり優劣を判断するようなセリフを言っているわけではない。そして前述の通りアギトに対して明確に殺したいわけでもなく、同時にアンノウンたちの上位存在でもあることが見て取れる。前回までの描写だとアンノウンとアギトは上位存在とみなし人間を間引きしているのでは…とも考えられるが、今回の描写で人間に対しても悪感情はないところを見ると彼は一概に誰の味方とも言えない情報が揃っているのだ。


思えば今回は幻想・フィルターというものが番組全体に横たわっていたと思う。今の自分が生きている状態が素晴らしく、それが続けば良いという漠然とした願い。アギトという存在への憧憬、人間という種を知りたいという探究心、あかつき号を解明すればなにか救われるかもという思い。…ではあかつき号の乗客たちもなにか幻想のようなものを共有しているのだろうか。それを固辞するために相互のつながりの中だけで生きようとしているのだろうか?
 

アギト&アンノウン
 ジャッカルロード。アギトグランドフォームはスピード翻弄できるがストームフォー厶やギルスには即座に対応される様子を見ると、逃げ足は厄介だが格闘能力はさほどでもないのか。
 以前アギトはフォームチェンジのロジックよりも殺陣の見栄えの観点から使い分けてるように見えると記した。ジャッカルロードの大鎌とストームハルバードで切り結ぶのは見栄えが良い。

 今回気になったのがアギトの防衛本能は何によって刺激されているのだろう。アンノウンの戦意か、はたまた被害者の救難信号か?もし後者ならばアギトは蟻のような社会性昆虫における兵士階級みたいなものなのだろうか?

仮面ライダーアギト感想:第13,14話

風谷殺害事件について進む回。アンノウンと一見関係ない謎がなんのために存在するのか?こういった謎も並行していく。

翔一
 今回単なる苦戦の域を超えて命の危険に晒された彼。これまではなんとなくの善性とアギトの本能というふわふわとした理由で戦えてきたいうことはこれまでに語った通り。ただそれでも自分が死ぬという先行きを聞かされたときに漏らした真魚への心配から、なんとなくの心構えの中でも真魚というわかりやすい隣人は大きなウェイトを締めていることが改めて提示された。やはり、見知らぬ人間のためだけではなく明確な“顔”が見えていたほうが良いのだろう。
 翔一は人並み外れた強さを持つが、過去のことを思い出したくないことや真魚を戦うための目処にするなど人らしい弱さも垣間見えるのだ。

 断片的な情報から風谷殺害事件から伺い知れる真魚父の人間性。もちろん人の人格が一面的であることはないのだが、真魚が抱く父へのイメージもまた何かのフィルターを通した幻想なのだろう。前回、超能力の実在の有無そのものをあまり考えないようにしていた美杉もやはり風谷の別の一面を知っていたのだろう。
 そういえば太一が欲しいものに上げていたバスフィッシングの道具、この頃は流行ってたなあ。時事性を感じさせることの少ない画作りをしている本作だがこういうさりげないところには時代性を感じる。

氷川
 部下を守りながらも仕事の体裁を利用して北條の醜態をほくそ笑む小沢。やはりただ単に成人というわけでもなく、仕事を楽しむイイ性格なのがこの大将の面白いところだ。また、氷川よりもいち早く翔一の底知れなさを見抜く小沢。こういうところで器がでかく、慧眼を持つ所を見せている積み重ねが光る。
 北條が提案したアギト捕獲作戦。前回の感想でも書いた通り発想の出発点は間違ってないが、ここまで拘ってるのは氷川に殴られたことで意地なったからという可能性があるのではないだろうか。
 そしてその氷川だが、小沢が翔一を評価する光景を見ても彼は翔一に対する苦手感覚を払拭できない様子。人を見る目も武骨漢だ…


葦原
 今回大きな進展はないが、テニスボールの繋がりで風谷殺人事件とあかつき号のつながりを見せた。
風谷殺人事件に絡む超能力の影。超能力といえばアンノウン。ということはアンノウンとあかつき号にも繋がりがあるのが見て取れる。
 前回の佐恵子への応対もそうだが、大学辞めたばかりの若者にしてはハキハキしてるし敬語や謙譲語の使い方もしっかりしてる。粗野な印象の割に根は結構硬い人なのか葦原。

 

謎の青年
 沢木にも彼の真意はつかめない様子。またアンノウンのみならず、アギトにも作用する力を持つ。しかも、沢木はアギトをサンプルだから助けろと請い、青年はそれを承諾する。別にアンノウンがそこまで熱心に殺人を進めなくてもいいのか?こういった描写から敵はピラミッド型の階級構造を持つわけではないことがわかる。 
 船に乗りたいかと沢木に尋ねる青年と、それよりも“知”が欲しいという沢木。今見ると凄くわかりやすく象徴的なシーンだ。


アギト&アンノウン
 さて戦闘シーンでの苦戦させるだけにとどまらず翔一の命そのものを脅かしたサソリ。蠍の尾だけでなく、マスクの口や頬にある顎脚が動くなど、作り込まれた着ぐるみによる生物感が凄い。アクションのみならずこういうところの特撮でも気合が入っている本作品。これまで連携や飛行能力でアギトを翻弄することはあっても正面からのぶつかりあいでアギトを圧倒することはなかったアンノウンだが(防御力の高かった亀も連携することでそれを生かしており単体だと結局突破されている)、こいつは強敵である。
 アンノウンを倒せば能力も消えるという下りはかなりエンタメに割り切っている。こういうところは引き算するので本作のどこに集中すればいいかの見やすい導線となっている。
 サソリ対G3戦。G3の装甲もさることながら、斧の刃は喰らわずに柄の部分を受け止める殺陣の細かさが良い。G3の装甲の進歩に加えて、相手の攻撃をしのげる説得力がある。
 不思議な経緯で生まれたスライダーモード。不思議な力による推進力ではなく、バイクから投げ出される勢いを利用するという、普通の人間なら死んでいる加速を利用するところに仮面ライダーの身体能力が覗える。



 改めて本作を追って気になった点。それはアンノウンの外見だ。前作グロンギより動物成分の濃いデザインのアンノウンだが、モチーフ生物の特徴に関わらず共通して大きな口を持っている。対してアギトは(顎門“あぎと”などという名を持っているのに)口が見えず仮面のようになっている。口を覆ったアギト(とG3)に対して大きな口が見えるアンノウン、そして中間にいる普段は見えない口が出現するギルスといった位置関係が見えないだろうか。だがそれでいてものを食べる描写があるのは逆だ。大きな口があるにも関わらず何を食べてどう暮らしているのかわからないアンノウン、一方で戦うときは物言わぬ戦士だが戦場を離れれば健啖家なアギト。なにやら象徴的ではないだろうか。
 (変身ヒーローという番組上やむを得ないものの)顎門などという名の割に牙状のディテールしか顎要素のないアギトだが、翔一くんはその顎を使ってよく食べる“のだろう”。だからこそ翔一くんが“仮面ライダーアギト”なのだ
 とここまで書いたのだが、この時点では翔一は作る場面は多くても、食べるシーンが映るのは意外と少ない。今後に変化があるのだろうか。

仮面ライダーアギト感想:第11,12話

感想は書いてるうちにこの回で描かれているのは「手段と目的」なのかなと思った。


翔一
 過去を知ることが怖いのか美杉たちの記憶を取り戻すはからいをはぐらかす翔一くん、人並みに恐怖や人間臭さもあることは以前から描かれている通り。しかし、その一方で篠原佐恵子に関して幻想で生きるのはおかしいという強さもある(勿論彼は彼はそれを実行できている。警察や軍人のように心構えを長期的に身に着けたわけでもない者が自然体でアンノウンと戦い日常生活を営めているのは強さ以外の何者でもない)。その両方が同居するどこか多面的とも歪とも言える人格に見える。やはり記憶喪失になった経緯に原因があるのか。 
 また、今回で翔一がアギトの出自に関して触れているが世間話程度でそこまで真剣に探る様子はなさそうだ。やはり根本的には気にしてない。
 超能力を氷川以外に明かしていないという真魚。やはり異能としての行動としては翔一より幾分常識的だが、翔一くんのために明かせる勇気はやはりすごいと言わざるを得ない。
 居候をいじるときにまなちゃんを含めない太一。思いやりがあるのか子供故に思考に入ってなかっただけなのか…どちらにせよその辺うまくやれてしまうから憎めないキャラなのだという絶妙なバランス。

氷川
 G3を着ていなくてもG3の武器を使ってアギトを援護する氷川。ここがG3を着ていたにも関わらず逃げた北條との対比か。しかしだ、北條も捜査一課にいた頃は拳銃一丁でアンノウンに立ち向かっていたから勇気はあるはず。ということは、これは単純に勇気の有無だけでなく、「力を持ったときにそれを軸に頼ってしまうか、あくまで自分の一部として対等に見るか」の差なのだろう。氷川は捜査一課に戻ってもアンノウンの謎や戦う道や探ると言っているのに対しそもそも北條は普段からG3を「手に入れること」を目的としているフシがある。
 それを示すように、北條はアンノウンを倒すために命令違反承知でG3で出撃している。ここからわかるとおり勇気や正義感はあるのだ。でもそのあとそれをおとなしく受け入れずばっちり言い訳を並べる良い根性もさすがの北條なのだが。

 また今回は保護対象者そっちのけでアギトを捕獲しようとする北條を殴る氷川を見られる。此処は別の場所において、人の弱さに気づけず生き方を押し付けようとする翔一を殴って止める葦原とつながっている場面だ。一見バラバラだが他者を思いやれるという点では共通しているのだ。
  
 この辺りから北條と氷川の対立というより、氷川を介した北條と小澤の張り合いという様相が強くなってくる。G3チームの司令塔たる小澤の存在感たっぷりだ。

葦原
 あかつき号を追うという彼。翔一たち他の人物にとっては、あかつき号の真相の奥にある秘密を知ることで今の自分の原因と今後を知る、つまり手段なわけだ。一方で、葦原にとっては追う「行動」が目的となっているように見える。ここまでを見ると今のところの彼は水泳の復帰、彼女の護衛、父の死因の解明と短期的な目先の目的を捉えることで動いている(対コブラ戦後、戦う理由がなくなったら所在なさげに家にいたのが象徴的だ)。彼は目的・目標がなければ生きられない人間なのだ。
 氷川の項目で目的と手段の話をしたが、ここでもあかつき号を追うことは自分の過去を知る手段となる翔一(手段となるだけで追う気があまりないのだが)とあかつき号を追うことそのものが目的となっている葦原。この辺でも対称的であろう。
 また、あかつき号関係者の篠原佐恵子を守るためとはいえ、他人のために身を削るギルスに変身するあたり根の人の良さが垣間見える。
まだ大学を辞めたばかりでまだ若者の彼だが幻想のなかで生きることに(理解はできずとも)尊重する様子を見せる。勿論他者を思いやれるという面もあるが、どこか自身も擦り切れていて佐恵子に感情移入しているようにも見える。

あかつき号関係者
 まがりなりにも研究資料を素人が触ることを許すのはやはり変。このあたりでも怪しさを演出できている。
 佐恵子はよく見ると葦原の話をはぐらかすばかりでなく、翔一と顔を合わせようとしない(真魚の質問を聞いてる体を装っているがうまいこと翔一の顔を正面から捉えようとしない)。やはり真相を知ってはいるが思い出しくないのだ。このメインキャラ同士が素性を知り合って認識し合うのではなく、あかつき号という軸を中心に繋がっていく構造がアギト独特だ


アギト&アンノウン
 G3の拳銃、以前は全く聞かなかったのが今回はシマウマの気をそらすことに成功。やられてるイメージの強いG3だが毎回同じ負け方をしてるわけでなく少しずつ耐える時間が長くなったり武器が効くようになってきている。
 どうやらギルスの感知能力は低い、もしくは不安定(近い距離でしか感じ取れない?)。そのためアギトとは別行動になるし、そこでアンノウン出現時の行動に違いが出て互いの素性に気づかないすれ違いが描かれるのが見事だ。登場2回目だからか危なげなくアンノウンを倒すギルスも頼もしい。
 シマウマアンノウンは単体でも白黒模様にするのではなく白&黒をそれぞれだして2体画面に出てきたときにシマウマときづく遊び心が上手い。一体一体はアギト・ギルスよりちょい下。連携すると厄介くらいの強さと言ったところか。それはそれとして血が出なければミイラはいいのだなニチアサ

 以前、某動画サイトの配信で鈴村監督が、翔一・葦原の泳いだ湖は水温が低すぎて溺死体が上がらず沈むため、現地民にそこで泳ぐのは正気じゃないと言われたそうだ。賀集さん、友井さん命張ってるなあ…

仮面ライダーアギト感想:第9,10話

3人の物語を結ぶための布石が置かれた回。
この作品はミクロな人間模様が主というより(勿論それらも手を抜いてはいないが)、あかつき号という柱から発せられる刺激にそれぞれの3本のストーリーラインの登場人物が刺激を受ける形だ。

翔一
 地に足ついた生活をしながらも仙人然とした精神を持つ翔一。今回それが現れているのが農薬云々の行であろう。彼が無農薬農法の理由は「虫が食べる量なんてたかが知れてる」からである。そこに正しさや潔癖さといった理由は存在しない。恐らく彼は必要とあらばが虫を駆除することもいとわないだろう。彼にとってはなにかの理論を(半ば自分を形作るために)通すといったことをするまでもなく、その時々で思うように考えればいいことなのだ。
 そんな翔一でも過去を知るにはそれなりに同様。その後ホームセンターに寄ったのはいつもの自分のペースを取り戻すためか
アンノウンを感知したときの翔一はなにか本能や衝動に突き動かされてるように見えるが…。本人は「居場所を守るために戦う」とは一応言っているが根底の大部分はなにかに突き動かされてなのだろうか。警察に三浦智子の件を聞かれたときも答えないのは自分の過去を知る怖さや会えずに帰った後ろめたさだけでなく、アンノウンと戦うために呼ばれる感覚によって上の空だったからかもしれない。


氷川
 北條G3の活躍を素直に喜ぶ氷川。その純朴さもよいが今回はなんといってもG3システムを着ただけ者と仮面ライダーG3たる者の違いを見せたことだろう。
 実はこの話数までには意外にも氷川G3はそこまでたくさん出ているというわけではない。そこにあって、氷川でなければならないという点を、(北條の醜態という相対比較だけでなく)しっかり視聴者に印象付けられていたことだろう。
 河野刑事に付き合うラーメン屋のシーンも彼の人柄を表しているのようで微笑ましい。このときは店長もなると占いも影も形もない。あとあと拡がって行ったのだろう。ラーメン屋と高級料理でキャラの対比も効いている。
意外と氷川G3の出撃は少ない。
 今回はG3離脱という失態を犯してしまった北條だが知略面では冴えたところを見せている。小沢を分析して侮らない北條、陰口は叩かないし事実を踏まえた上で攻撃してくるあたり確かに根はいい人(?)なのだろう。アギトの捕獲も中々冴えた考えだ。我々視聴者にはヒーローだと認識されてるが、劇中視点ではアンノウンに呼応して現れる怪生物にすぎない。登場人物からはアギトはアンノウンを捕食しているだけかもしれない(人間を釣り餌にしてアンノウンを探し出しているとか)し、もしかしたらもっと複雑な生態があるかもしれないのだ。
それはそれとして、高級レストランにてあの空気の中、我関せずとパクパク食べる御室さん。ああ見えてG3チームに居られるだけの胆力はある


葦原
 とりあえず衰弱から回復した彼だが家に引きこもってしまった。考えてみればギルスとして戦うのは彼にとっては彼女を守るため、その後は戦う義務などないわけだ。しかも描写を見るとギルスのアンノウン感知能力は低い、もしくはまばらにしか作動しないためアギトやアンノウンの戦いを(他の市民と同程度にしか)知らないのだ。
 そんな彼だが父親が死んだという報を受ける(親の敵のように念入りに、またしても降りかかる災難)。身辺が苦難だらけにも関わらず手帳の謎を探るということにやる気を見せる。絶望的な様子だったトラック事故から立ち直ったことといいなにかに外部に打ち込む目標が彼の生き方には必要なのだろう。
 そういえば、翔一は勿論氷川もラーメン屋の風景から食事を通して人となりを描いているにも関わらず彼にはない。水泳部でまだ笑顔があったときにも、だ。これは意図的なのだろう。

アギト&アンノウン
 半ば強制的にギルスに変異し青年に挑むギルス。このとき青年の「珍しい」という台詞。ということはアギトは(少なくとも相対的には)珍しくない。アギトやギルスというのは個人名ではなく複数発生する種族名なのだろうか?翔一がなにかに引き寄せられるように戦う様子からアギトとは何らかの役割を種族のことなのか?

 北條G3、確かに強い。氷川よりもスタイリッシュかつ的確な銃撃力をしっかり表現されていたのはさすがといったところ。格闘面でも泥臭く組み付く氷川に対し鮮やかな投げ技で敵と距離を取るのも彼らしい。
 これまでのG3だと今回のように肉弾戦でタコ殴りにされた場合「機能停止寸前」とか「出力低下」といった状態が引き起こされていたが今回はなし。オクトパスロードの腕力が意外と弱いほうなのか、それとも火器が少しずつ進歩してるように装甲面も改良されているのだろうか…まあ、両方か。

 今回登場したオクトパスロード。再生能力もすごいが私が気になったのは顔にある嘴のようなディテール。タコやイカの牙は鋭く、その獰猛な形からカラストンビ、クチバシなどと呼ばれる。そこからデザインが来ているのだろうか。

仮面ライダーアギト感想:第7,8話

前回で主要人物が出揃ったため、やや落ち着いて物語を紡いだ回

翔一
 翔一は本当に殺人犯なのか?記憶もないためそれを完全に否定できない。翔一の正体不明さにある種孤高のヒーローを感じ始めた矢先に、その正体不明さの負の面を視聴者に見せていくことで停滞感を感じさせない手腕だ。
 また怪しいのは翔一のみならず美杉教授もだ。真魚父の命日、実の兄弟同然に仲良かったというのに命日を忘れてる美杉…思い出したくない死因だったのか?他殺というだけなら悲しむ気持ちはあっても命日まで思い出したくないという程ではない気が…。
 翔一の記憶を読む真魚。ここで翔一を疑ってしまうのは彼がアギトだからであろう。アギトとはなんなのか、アギトはどのような生態なのか、彼女も知らない。「アギトもアンノウンのようなことをしている」可能性を思い浮かべても不思議ではない。もしかしたら影で人を捕食している可能性だって劇中人物視点ではありうるのだ。

葦原
 ギルスへの反動か?3日感も眠るほどの衰弱を見せる葦原。周囲に受け入れられる翔一・変身しても体に異常が出ないアギトとの対比が浮き彫りとなった。
 そこで葦原を助ける謎の青年。ギルスはアンノウンの敵ではないのか?それともこれから味方側に引き入れようとしているのか?ギルスの方は戦闘意欲を見せるのだが…。
 そしてここで「アギト…いやギルスか。珍しいな」というセリフから逆説的にアギトは珍しくないことがわかる。ひいてはアギトとは個人名ではなく、種族を指すのではということがこの段階で既に示されているのである。

氷川
 氷川があかつき号を救助したのはやはりイレギュラーな事態だった。海上保安庁の失態とも言えるが、同時にやむを得ない怪現象だった可能性を示されている。あかつき号とはなんなのか?
 今回台詞回しが秀逸だったのはやはり氷川だろう。翔一くんに対しギャグ調に突っ込むのではなく「酒を飲んでいるか」と遠回しにボケていることを指摘するのだが暖簾に腕押し。既に氷川と翔一の力関係が固まりつつある。
 また、今週から始まる氷川の不器用伝説。手始めにのこぎりをへし折った上に煙に巻いたわけだが、他の人が相手だったらムキにならなかったのだろう。やはり氷川と翔一は噛み合ってないようで、噛み合っている。噛み合っているようで噛み合っていない関係だ。

 また、上層部からG3が戦果を上げていないと言われる場面。これについては視聴者目線だと人の身のままでアギトによく食らいついていると言えるが、警察目線では謎の生物(アギト)頼りの撃墜数はやはりまずいのだろう。

 ドアを閉じきらないうちにでかい声でもんくを言う小沢さん。上層部に聞こえてるよ絶対。猪武者ではなく搦め手でチクリというくらいには常識的な面(?)も
 また意外にも氷川さんに明確に不器用と真っ先に発したのは御室。その後のこぎりを折る描写を見せたわけで実はかなりの観察眼あり?
 他にも河野のフォローを受ける北條、朝帰りを揶揄するませた太一などレギュラーたちのさりげないやりとりによる個性付が進んでいく

この回では主要3人に、翔一:殺人犯の可能性、 氷川:過去の海上保安庁の失態の口封じのための飼い殺し? 葦原:謎の少年によりアンノウンの方へ引き込まれる?
とそれぞれの不安要素を見せている。本作ならではのダイナミックな連続ドラマとして、一筋縄で視聴者を安心させたりはしないというのが見える。


アギト&アンノウン
 一刀両断の極意で戦うフレイムフォーム。ロジック重視のフォームチェンジのクウガに対してアギトの方は武器を持ったアンノウンとのちゃんばらの薙刀・特殊な敵を一刀両断の刀と殺陣の見栄えから使い分けてるといえる。
 カラスの殺人方法の最終工程は力技だけど人型大のものがあれだけ移動するのは不可能なのでやはり不可能犯罪。
 やはり飛行怪人はライダーにとって鬼門なのか、一対一でアギトを翻弄する強敵カラス。単純に強いだけでなく屋台を壊したり、ジェットコースターのレールに叩きつけられたり痛そうな描写が多い。また、一瞬だがこのアンノウンの目に本物のカラスの目を合成したのではないかと思われる場面もある。

 オーパーツから赤ん坊を作り出すという結果があったにも関わらず、三雲は何も起きなかったという。これはなぜか。推測だが人体錬成という禁忌の領域に踏み込んだという点を科学者としての良心が咎めたのではないだろうか?
 オーパーツを解析できる程に人類が進歩した時代、それは謎の少年やアンノウンたちにとっては一つの目安なのではないだろうか。アギトはこれまでも生まれていた。過去のアギトは人類とうまくやっていたのかもしれない。しかし、人が科学で人を超える時代においては、アギトをどう捉えるのだろうか?
 アンノウンとは「人が何かの一線を超えたときに動く」のではないだろうか。そう考えると三雲がアンノウンに殺されたのは展開としては偶然(負傷し混乱したアンノウンによる誤認)だが、ある種の必然を感じてしまうのである。

 アンノウンが人の(良きにせよ悪しきにせよ)変化を嫌うなら、人はそれを超えることができるのだろうか。