フラギイのメモ

Twitterで書き散らしたことを体系化しようとした。

このブログについて。

 作品に対して思ってたことはTwitterでの放言を整理してこれから先で抱くことと並べてみたりすり合わせてみたり…そういうことをするために作りました。

 

 フォーマットも決まってないのでどんどん変わっていくしどんどん継ぎ足していくと思うけど、定期的に整理できたらと思ってます。

 

よろしくね。

 

pixivのリンク。私の作成したメガミデバイスの小説を置いてます。

 

www.pixiv.net

Kamen Rider Agito Thoughts: Does Kamen Rider Gills fall into the water too much?

この記事は、以前執筆した仮面ライダーアギト考:ギルスは水落ちし過ぎ? - https://fra-gillelog.hatenablog.com/entry/2026/01/02/214857  を英訳したものです

 

Is the common belief that 'Gills' suit was damaged from falling into the water too many times' true?  If I were to express my personal opinion, this is almost certainly dubious.  In the book interview, only the 'result' that it is damaged is mentioned.  (In a unique testimony, there was also a testimony that Oshikawa juice had dissolved.)

 

 

The fact that 'Gills suit doesn't exist' and the common belief that 'Toshiki Inoue's scripts often have water-down scenes (which should also be examined together with the director and action director of that episode, etc.)' got merged without distinguishing between facts, common beliefs, and impressions around this area. And before I knew it, it seems to have changed into the common belief that 'Gills often has water-down scenes and that's why the suit was damaged,' as I could observe from having been on the internet before the airing of Decade.

 

Therefore, this time I will count the number of times each Kamen Rider falls into water and consider whether it is really 'frequent.' When a Kamen Rider is knocked into the sea or a river by an enemy, and it shows a scene of them being fully submerged once, that counts as one time.

 

Agito: 3 times (episodes 7, 25, 31). In episode 42, there is also a scene where Agito is thrown from a ship, but in the cut where he hits the water, the transformation had worn off, so it is hard to definitively say whether it was a fall in the suit.

 

 G3-X: 1 time (Episode 31)

Gills: 1 time (Episode 50)

Another Agito: 1 time (Episode 40)

 

The above are the aggregation results.

Even considering depictions where only parts like the ankles come into contact with water, the total amount is not much different from other riders, so the common belief that Gills falls into the water too much is clearly contrary to the main story. From the perspective of fight choreography, Gills had many advantages in battle until the third cour, when Water El appeared. Also, until the consequences of his transformation wore off, it was necessary to include depictions of him struggling with aging. If that is the case, such depiction could not be done unless he was on land. Therefore, Gills' battles needed to include portrayals of 'defeating or repelling the opponent, and then suffering from the consequences after the battle.' It is impossible for him to 'fall into the water too much.'

 

So, is it a myth that was born completely out of nothing? As mentioned above, 'water stains on suits' are not common. However, when it comes to the element of the characters before transformation, the situation is a bit different.

The actors who played Agito and the other two main characters before their transformation all say that "shooting in the water scenes was tough."  Swimming in the winter lake, storm effects with the Akatsuki set, being killed and sinking into the river, and so on, they talk about the memories of the harsh filming in books and other sources.

Ryō Ashihara has many scenes where he puts his body on the line, such as "swimming in a winter lake to save Shinohara from drowning," "being killed in his mortal form by psychic powers and carried away in a river," "jumping in to save Kino sinking in the sea," and "having his throat pierced by the water El and washing ashore."

 

If it is 'Ashihara Ryo, not Gills,' then there are many scenes where he comes into contact with water, and including before his transformation, the idea of water was probably attached to him in general, giving rise to a popular theory.

食玩改造:ギルスの腕


う、ウォォアアアアア────!!

 

掌動仮面ライダーギルスの右腕だけエクシードギルス風に。プラ板で作った骨組みにパテを盛って作成。

落とされた腕の方は食玩マギアの腕にパテを盛って作りました。なので少し太いです。むくんでると解釈しよう。

仮面ライダーアギト考:ギルスは水落ちし過ぎ?

 まことしやかに語られる「ギルスは水落ちしすぎてスーツが損傷したのでなくなった」は本当なのだろうか?私見を語るならばほぼこれは眉唾だろう。書籍インタビューでは損傷しているという”結果”しか語られていない。(ユニークなものでは押川汁が溶かしたなる証言もあった)

 ディケイド放送時以前からネットに触れていた身としては「ギルスのスーツがない事実」「井上敏樹脚本は水落ちが多いという俗説(こちらはその回の監督、アクション監督なども合わせて検証すべき)」、この辺りの事実・俗説・印象などが切り分けられず合流していつの間にかギルスは水落ちが多すぎてスーツが破損したに変化しただけに見受けられる。

 そのため今回は各ライダーの水落ちをカウントしてそもそも「本当に多いのか」を考えてみる。敵にふっ飛ばされて海や川に落ちるなどして全身一通り浸かって1回とする。

 

 

アギト:3回(7、25、31話)。42話でもアギトの姿で船から投げ出される場面があるが着水するカットでは変身が解けていたのでスーツでの水落ちかは断定しにくい。

G3-X:1回(31話)

ギルス:1回 (50話)

アナザーアギト:1回(40話)

 

 

 以上が集計結果である。

 足首など部分的に水に触れる描写を見ても総量は他のライダーとさほど変わらないので、ギルスは水落ちしすぎという俗説は明らかに本編に反する。

 演出的な面から見ていくと、ギルスは3クール目に入って水のエルが出てくるまで戦闘では優位な面が多かった。また、変身の反動がなくなるまでは手足の老化現象に悩まされる描写を入れる必要があった。とするならば陸地に残っていなければその演出ができないのだ。そのためギルスの戦闘としては「相手を撃破ないしは撃退、戦闘終了後に反動で苦しむ」という描写を入れなければならないので”水落ちしすぎる”ことなど不可能なのである。

 では完全に無から生まれるイメージなのか。上述の通り「スーツでの水落ち」は多くない。だがキャラクターを構成する変身前。ここで少々事情が異なってくる。アギト達メイン3人の変身前を演じた俳優たちはみな水の撮影が大変だったと語っている。冬の湖での水泳、あかつき号セットでの嵐演出、殺され川に沈む等など過酷な撮影の思い出が書籍等で語られている。ここへ行くと葦原涼は「溺れる篠原を助けるために冬の湖で水泳」「あかつき号乗員の超能力で生身の時に殺され川に流される」「海に沈む木野を助けるため追って飛び込む」「水のエルに喉を貫かれ、漂着」と特に体を張った場面が多い。「ギルスではなく葦原涼」ならば水に触れる場面が多くキャラとして総合的に水のイメージが付く、という流れもあって生まれた俗説なのだろう。

 

 

仮面ライダーアギト考:劇中人物にはアギトはどう見えているのか

 仮面ライダーアギトに登場する人類の新形態アギト、さらにはその亜種のギルス。それらは劇中の人間にはどう見えているのだろうか。人物たちの証言から考えてみようと思う(ジオウなどは除きあくまで本編、映画、TVSPのみにおいて)。ちなみに「アギトは本当はアナザーアギト同様の姿だがTV向けに別に見えている」という俗説には懐疑的である。製作の遊び心からアナザーアギトが違う姿にデザインされたのは各書籍などで語られてはいるが、アナザーアギトが基準という明言は見当たらないし、劇中覚醒した他のアギトはどれもグランドフォームの姿だからだ。もしアナザーアギトが本来の姿なら他のアギトをその姿で描写すればいいだけだ(カナアギトや雪奈アギトが映ったのはアナザーアギト登場以降なので、もしアナザーが本来の姿だというなら着ぐるみを流用できるはずだし、そうすれば翔一アギトの特別性も強調できるからだ)

 

各人物の反応を書きだしてみる。

・翔一

ギルスに対して「こいつは一体…⁉」と反応していることからアギトにとってもギルスは別の生物に見えるらしい。

アナザーアギトに対しては明らかに戦闘をためらっているので、同族に見えているらしい。あるいはベルトが発光する変身などから自分と同様の生物的特徴を見出しているのかもしれない(ギルスの変身は額のシグナルが発光するものでベルトは強い印象を残さない)

後半に一瞬だけ映った可奈アギトも即座に同族とわかったので、おおまかに同族か違う生物かはわかる(もしくはその程度の差しかない。人間も顔はみな違うがかといって鳩やタンポポと見間違えたりしないのと同じ)。

 

・氷川

ギルスに対して困惑した反応を示しているので、アギトではない人間から見てもアギトとギルスは完全に別の生物に見えているらしい。

アナザーアギトをアギトと誤認していたのでこの二人は同一に見えるらしい。ただ、これについては他の見方もできる。人間たちがアギトが複数存在する可能性にたどり着いたのは、これと前後した時期に小沢や北條がようやくたどり着いた推測だ。まだ氷川にとってアギトとはただ一人の特定個人であり、その場に二人の戦士が居て片方がギルスなら消去法でアギトと取ってもおかしくはない。また氷川はアギトが複数の姿へフォームチェンジしているところも見ているので、彼の新しい形態と解釈する可能性もあるだろう。

そのあとアナザーアギトの戦い方や佇まいを見て「僕の知っているアギトとは違う」と見抜いているので戦士としての在り方を見抜くあたりはさすが警官といったところだろうか。

 

・葦原

アギトは自分とは明確に別物に見えている。

アギトと何度か交戦した後の時期に沢木からお前もアギトの一種だと言われて心底驚いている。知人を殺した存在と同じだと言われたことも大きいだろうが、この後何か考えを巡らせている視線のカットがある。おそらくここで「アギトも自分と同じく人が変身した存在=何か意図や事情がある」と察したのだろう。彼が翔一がアギトと知ってすぐに和解できたのは両人の人徳もあるが、「相手も人間が化けた存在で意図や感情がある」と受け入れる下地ができていたのも大きいだろう。

アナザーアギトに関しては翔一に対し「そいつの姿に惑わされるな。抵抗しろ」と言っていることからギルスから見てもアギトとアナザーアギトは同じようなものに見えているらしい。

 

 

・人間

北條がアギト捕獲作戦時にギルスを発見して、どうすべきか判断に迷っていることからして普通の人間から見てやはりアギトとギルスは別物に見えている。

葦原の恋人・真由美はギルスに対してアンノウンと同じと言っている。だが、彼女については親族を殺されたばかりの上にそもそも複数の超常存在についてなじみがなかったので、悲しみと混乱で(人間じゃない怪物という意味で)同じだと言い放っただけと見たほうが自然だろう。

 

 

・あかつき号(次期アギト候補者)

ギルスに対して関谷真澄が「あの姿、あいつら(アンノウン)と同じ」と言っている。このことからして、アギト予備軍の目で見ても「ギルスは敵でないことはわかっているが、見た目はアギトよりもアンノウン寄り」ということであろう。

ちなみにアギトを知っているあかつき号乗員がギルスをアンノウンみたいで気持ち悪いという辺り、やはり劇中人物にもアギトはグランドフォームのようなすっきりした姿に見えているのであろう。

 

 

こうして見ると、どの立ち位置の人物からも「アギト達はおおよそどれも同じ生物と見なしているが、ギルスは明確に別の生物と認識している」というのが一貫しているのがわかる。

例えば、アギト対ギルスも単なる勘違いとだけ言われるがあの時点での各人の情報量考えると不自然ではない。両者互いに、正体どころか「人間が変身してる」ことも知らず謎の生物としか思ってないわけで、涼の視点からでは正体不明の存在がが人を襲っていたと思ってもおかしくはないだろう。(しかもあの世界の人外はアンノウンという元からその姿の怪物の方が多数派ではある)

これはどちらかというと私たち視聴者の方が変身ヒーローを見ているという先入観に囚われているのだが、劇中人物はそれぞれを別の生物として捉え、そこから推論や情報を重ねた末に「人間から発生した存在」だとたどり着いてるのだ。そこがアギトという作品の妙味だろう。

仮面ライダー555の「仮面ライダー性」

仮面ライダー555のいくつかのインタビューで白倉Pが「555は”仮面ライダー”をやろうとした作品です。原点回帰です」という言葉を放った時、当時は幼く「そりゃ龍騎よりはスタンダードに怪人と戦うけど、十分に尖ってないか?キャラとか…」くらいにしかとらえられなかったが後年理解できた。仮面ライダー555とは1作を通して以下の2軸(それが原初の仮面ライダーが持っていた要素)を貫いた作品だったのだ。

 

 

仮面ライダー555を貫く2軸

①心を持った者の命を奪う是非

②仮面ライダーに関わる親父さん

この作品は言ってしまえばこの二つを描くことに注力し、この二つに向き合ったので、

物語上の個々の矛盾や齟齬があったとしても仮面ライダーとして誠実たりうるのだ。

 

①心を持った者の命を奪う是非

 こちらは主人公・巧が何度もぶつかっていたのでわかりやすいと思う。我々視聴者は「良い怪人なら見逃し、悪い怪人だけを倒せばいい」と即座に答えを出しがちだ。だが、「良い怪人」とは誰がどうやって、どの基準と判例で決めるのだろう。視聴者は神の視点でものを見ている。だが、作品世界を生きる人間はその視点で見える者しかわからない。

 我々はその怪人がどんな奴かは上からの視点で見て知っている。だが、劇中世界に生きる人間がその視点を得ることはない。無害に生きてる怪人がある一時魔が差したところを見てしまっただけかもしれない。極悪非道の怪人が気まぐれで善行をしたところだけを見かけただけかもしれない。どんな情報をどこまで知ったら、相手の命を奪ってもいいのだろうか、奪うべきなのだろうか。もしかしたら我々視聴者だって見ているのはその怪人の一生の一部かもしれない。仮にすべてを知ったとて、命を奪う資格などというものはあるのだろうか。

 他に主題のある作品ならば、ここで一つの答えや落としどころをつけて次の話へ行くのが定石だろう。だが555はここが主軸の一つであるので全編にわたって、様々な切り口で力を振るうようになった怪人と対峙していく。

 顕著な例が17話だろう。巧が出したのは答えでも正しい基準でもない。目の間で命が脅かされているならば、その加害者の命奪う、そして自分も加害者側になると言っているのだ。答えとは悪く言えば自分の罪悪感を減らすための正当性だ。しかし巧は答えは出せずやせ我慢の極地で戦いを決意した。自分を助けた長田のように善心を感じる者でも他者を脅かすなら戦う。逆に、自分が他の部分を見ていなかっただけだとしても、人に危害を加えないと判断したならドルフィンオルフェノクのような者を見逃す。そういった命の選別を行うのが巧の言う「罪」だ。力を振るう経緯が描かれた哀れなアルマジロとただの通り魔のフライングフィッシュ。この二人を平等に相手取るファイズの姿は「どんな者であれ、自分が敵だと判断した者とは戦う」という構図だ。

 この前提の上で、1年間の尺で様々な「力をふるう命ある者」を描き続けた。配信で見返したときに興味深かったのがスパイダーオルフェノク・澤田だ。彼は積極的に人間側であろうとする者でも、オルフェノクの力に心酔する者でも、それらに従わされた者でもない。彼は「オルフェノクになんてなりたくなかったが、なってしまった以上は現状を肯定したい、しなければ折れてしまう」者だ。だから彼は木場とも合わなければ、スマートブレインとも反りが合わない。彼は「オルフェノクの本能が俺に力を振るえと言っている」という旨の発言をしたが、気持ちよく力を振るうところなど殆ど見せない。真理の前での強がりの可能性が高い(もしくは、本当にそう言った誘惑があるのかもしれないが、彼の悲壮感を超えるほどのものではないのだろう)。同じような実験を受けた同窓生はみな己を人間と思える範囲なのに、自分だけ完全な怪物となってしまった。その孤独は相当なものだろう。

 そして草加もこの視点から見て面白い存在だ。彼の台詞で面白いのは、「オルフェノクはすべて敵。そう思わなきゃ戦えないはずだ」のそう思わなきゃの部分であろう。オルフェノクにも心があるなどとそんなことは実はとっくにわかってはいるが、それを容認してしまっては自分が揺らいでしまうと冷徹に徹しようとしているのが垣間見える。

オルフェノクだって泣きも笑いもすることは草加だって知っている。だが命を奪う相手の顔をまともに見たら精神が持たない。それでも自分の人生を奪われた復讐をしたい。その板挟みの落としどころが前述の精神状態なのだろう。だから草加は、巧がオルフェノクにも人格と命があることを直視しながら戦おうとすることが理解できないのだ。しかも草加は巧が「戦う罪を背負う」と腹を括る場面を見てないのだから、なおさら「何故命を奪う相手の心を直視できるんだ?」と理解できないんだろう。

 そしてその草加でさえも結局は命を奪う重みからは目を背けきれず、「悪の怪物をかっこよく倒すヒーロー」にはなりきることはできなかった。そして彼の心も少しずつ摩耗していき、終盤はオルフェノクへのスタンスを変えた真理や啓太郎ともうまく付き合うことができず孤立していった(正確には真理たちは草加の暴言は咎めつつも友人の一人としては重んじていたのだが、彼自身が齟齬から孤独感を感じていった)。

 

 

②仮面ライダーに関わる親父さん

 仮面ライダーになってしまった青年をときに導き、ときに帰る場所になる。そんな存在が立花藤兵衛たちであり、いわゆる親父さんと呼ばれる存在だ。彼らはTVシリーズの仮面ライダーにおいて重要な役目と存在感を担っている。孤児たちの話である仮面ライダー555にも実は親父さんと呼ばれる存在は作中に配されている。ただし昭和ライダーとはかなり異なる形ではあるが。

 言ってしまえば555は「(無自覚な場合も含む)悪い親父さんが仮面ライダーたちを困らせるお話」だ。その筆頭が花形だ。流星塾に集められた「素質を宿した子供たち」。それはまさにフィクションの主人公足りうるバックボーンを備えた者達で、言わば仮面ライダー候補生たちだ。流星塾とは意図的に”仮面ライダー”を作り出そうとした場所に他ならない。花形は心から人を守ろうとした部分は紛れもない事実である。そしてそのために意図的に”ヒーロー”を導き、創り出そうとした。それによって過酷な人生を歩まされたのが仮面ライダー候補生たちだが、そんな大人のメンターの思惑から外れて自らの人生を歩む強さを見せてくれる物語でもある。子供には自らの人生を生きていける強さがある、仮面ライダー555が見ているのはどこまでも子供たちの方だ。

 特別な素質と辛い過去。まさに物語の主人公にうってつけな設定だ。そこからバッタの王が生まれ人々(ホモサピエンスとは限らない)を救うというのは、仮面ライダーをかなり捉えた設定だと思う。繰り返すが花形に邪心はない。だからこそ彼を慕い、困らされた仮面ライダー候補生たちという構図が皮肉になるのだが。また、アークオルフェノクもまた、困った親父さんとしての一面を持っている。この作品が登場人物たちに彼らの視点と情報で常に自分で判断することを強いているというのは①で語った。そこへ行くとアークオルフェノクが人間態を消滅させて完全なオルフェノクにするのは寿命が云々という設定上の意味だけでなく、人間の部分を失う=「お前らはもう線引の片側に完全に移った。だからもう悩まなくていい。“俺“と“あいつら”でわけてしまえばいい」という困ったメンターからの甘言なのだ。自分で決めることを放棄し、より強大な者が簡単な線を引いてやる。本質的にはそうやって自立を妨げることに他ならない。

 そして巧が勤めていた喫茶店のマスターや木場たちの先生となるはずだったスクィッドオルフェノクといった、比較的まともな親父さんと成れたであろう存在は物語から排除される。荒野の自由に放り出された子供たちは悩み、時に命を落とし、そして自ら仮面ライダーになったり人生を選び取っていく。

 また、前述のとおり流星塾性が主人公足りうるバックボーンをいくつも持ち、かえってワンオブゼムになってしまう中、それらが語られない乾巧が逆に英雄たりえたというのも興味深い。白倉Pの著書「ヒーローと正義」の中に、英雄の要素として「異界からの来訪者」というものがある。いくら主人公足りうる要素をいくつも持っているからと言って登場人物みんなが持っていたらそれが当然となってしまい、特異性を持たない。みんなが持っている中で、何も持たない乾巧が異界からの来訪者として英雄となりえたのは自然の成り行きなのかもしれない。

 

 

TVシリーズ初代「仮面ライダー」、石ノ森章太郎氏の漫画「仮面ライダー」、はたまたそれ以外の多くのメディアの仮面ライダー。

それらが持っていた要素の特徴的なものを抽出・解体し、一年間において様々な切り口から描き続けた仮面ライダー555は『仮面ライダー』なのである。

機械式女神の行動及び生態の観察記録 モモカ起動

 

あるアリス型メガミデバイスの戦いの話。一話完結。  

 

 森の中、一人の少女が歩いていた。右肩には蝶の頭部、胸には蝶の羽根のような装甲で覆われ、脚部はチャップスのような装甲に覆われている。全体的には上半身に蝶の意匠を象ったマントを羽織ったガンマンといったところだろうか。
 背中までかかる黒髪の先端は赤く染まり瞳と同じ鮮烈な印象を与える。そんな黒髪が木々の間を吹き抜ける風によって揺れる。季節は夏なのだろうか、彼女のはるか頭上ではトンボが飛び回っていた。何かを感じ取ったのか立ち止まると同時に大型拳銃を引き抜くと、1時、3時、7時の方向にそれぞれ視線も向けずに瞬く間に弾丸を打ち込む。暴風のような一瞬であった。一拍遅れて木々の間から彼女と同じような戦士がふらふらとした足取りで出てきては倒れていった。
世界からすこしずつ灯りが消えていく。どうやらこの戦いの終わりを告げているようだ。
「モモカ、お疲れ様」
 どこからか聞こえてくる彼女への労いに応じて帰路に就く。彼女を作った人間という巨人の元へと。

 


──今日から遠くない未来。発達したAI技術は娯楽にまで波及し、14cmの女性型ロボット、メガミデバイスを産み出した。人間と同等の意志疎通能力、判断能力を有する彼女達は時に人間とのコミュニケーション、そして時にメガミ同士による競技「メガミバトル」に身を投じていた。

「ちょっとセラム、武器の整備は終わったの?」
 武器の整備をしているモモカが同じ家に暮らすメガミデバイス、セラムに声をかける。
「ほら、私は格闘戦メインだし、今日はモモカがほとんど倒しちゃったし。だから武器もきれいなままだからよ。というかバトルから帰ってきたばかりなのにマメだねえ。」
 声をかけられたセラムはのらりくらり追及をかわそうとする。彼女はこの家の1号機。モモカの先輩にあたるわけだが、セラムはそういった序列を気にしておらず対等の友人のような関係にあった。その上、モモカがどこか姉然とした振る舞いをするものだから、機体の作成順と立ち振る舞いは必ずしも一致しない。
「バトルが終わったばかりだからこそ、傷や不具合がわかりやすいの。わかったら貴方もチェックぐらいはしなさい。私はヴェインの慣らし飛行に出かけるから」
 ヴェイン、正しくはヴェインパワーとは彼女を補佐するトンボ型支援メカだ。高速飛行から低速ホバリングまでこなし、彼女に必要な情報を送る。先ほどの戦いでも上空から森の中に潜む敵の情報を送っていたのだ。

 少し郊外の空き地にきて、ヴェインのテスト飛行をしている。Chaos & Prettyシリーズのアリスという機種をベースにカスタムされた機体、それがモモカだ。ヴェインもアリスに付属するウサギ型支援メカを改造してトンボ型に仕上げている。彼女自身は今は上半身の武装を外し身軽になっている。素体に浴びる風が心地よく、ヴェインの飛行能力も問題なさそうなので機嫌も自然とよくなる。
 だがその上機嫌も長くは続かない。棘のある感情が彼女を覆って来ているのだ。そうとしか言えない。人間でいう気配というものだろうか。蜻蛉を上空に待機させ、自分は何も気づいていない風を装いながら周囲に視線を巡らせる。敵意はどんどん近づいてくるが、これほどまでに近づいてきても姿が見えないということは猫やカラスとは思えない。十中八九、自分の同族メガミデバイスであろう。
(横から来る…野試合って奴なら受けて立つわ)
 果たして予想通り、物陰から一機のメガミデバイスが飛び出してくる。
「なにっ!?」
 おもわず呻くモモカ。自分が予測したより敵の動きがはるかに速く、振り下ろしてきた大鉈を回避できたのは幾らかの幸運も含まれていたからだ。目の前の機体は両肩部に増速用バーニア、片手に大鉈、そして複数の銃器を各部にマウントしている。メガミデバイスの野試合はあまり推奨されないが行われてはいる。だが、敵機体のマスターも見えないし、何よりいきなり襲ってくるのでは試合というより辻斬りだ。敵の真意を測ろうと出方をうかがっていると敵機体が呻くように声を発する。
「アタシは強い…!もう…負けない…!」
 絞り出すように言い終わると、サブマシンガンを取り出し乱射する。撃ちだされる弾丸の奔流を横っ飛びで回避する。そのまま手近な小石を投げつけると、敵はサブマシンガンで受け止めた。そのまま接近し取り押さえようと走り出そうとするがそこにまた別の声が乱入する。
「やめてくれ、テンター!」
背後から人間の声がする。それを確認するために一瞬だけ背後に視線をやったのが命取りであった。再び視線を前にやると敵はこちらに銃を構えている。そして敵と己と背後の人間が一直線上に並んでいる。ということはここで自分が躱せば人間にあたる。そう考えた時にはモモカは両腕を広げ弾丸を受け止めていた。素体で受け止めた衝撃は大きく、彼女の意識は暗闇へと沈んでいった。

 

 飛び込んできたのは見知らぬ天井であった。飛び跳ねるように身を起こし周囲を見渡すとそこは一般的な住宅の一室のようだ。傍らにはヴェインが旋回しており、自分を護衛してくれているようであった。正式なバトル外での奇襲という不測の事態であっても、自分を守るために動いてくれている支援メカに頼もしさを改めて感じつつ今自分が置かれている状況を探る。見たところは普通の家庭のようだがと考えていると、部屋に一人の少年が入ってくる。
「気が付いた?」
 先ほどの敵メガミに声をかけていた少年だ。おそらくは所有者だろう。
「あ、あなたはさっきのあいつのマスターね?なんのつもりで不意打ちなんかしかけてきたのか説明してもらうわ」
 相手の意図を探ろうとするモモカだが、起動して日が浅いためか声色にはどこか人見知りの色が混じる。
「ちがうんだ!あれはわざとじゃなくて…」
 弁明を始める少年。事の始まりは彼らが勝てなくなった、いわゆるスランプに陥った時だ。二人は状況を打開する方法を模索していた。そんな時だ、“天使の助言”というパッチを知ったのは。それはメガミのハードポイントに挿す形で使用するもので、その形態でしか出回っていないものらしい。その話からしてもあまり褒められた物ではないらしく、これを使用すると機体の反応速度と出力が向上するものの引き換えに何らかの不具合が生じるものであった。少年の機体、テンターと呼ばれるメガミもそれを勝利欲しさに使用した。結果として、戦意が暴走し彼の制止も聞かず辻斬りを繰り返すようになったらしい。少年はモモカへ詫び、そして、愛機をとめてくれるように懇願もした。
「言われなくてもあの子は止める。やられっぱなしじゃ私の気が済まないもの。でもね、とめたあとのことは私の知ったこっちゃないわ。それはあなたが解決すべきね」
モモカは相手の目を見据えていった。

 

 数時間後、彼女のもとへ仲間のメガミが武装を届けに来た
「ほいこれお前の武装。私も加勢しようか?」
 モモカのチームの1号機、セラムはこともなげに言う。
「いいえ。これは私の問題。私が決着をつけるわ。ただそうね…一つだけ協力してもらおうかしら?あなた、帰るときはなるべく目立つルートで帰りなさい」
 武装を身にまといながら答えるモモカ
「ふ~ん相変わらず律儀だねえ。じゃあマスターには適当に言っておくから、あんまり遅くなるなよ」
 モモカの仲間の物言いに少年は唖然としていた。仲間は、モモカの単独行動をこれといって諫めず帰ろうというのだ。放っておけば仲間が危機に陥る上に、損害によってはマスターの不利益になる可能性もあるというのに。それをさりげなく話すとセラムは大した事態ではないとでも言わんばかりにこたえる。
「そんなこと言ってもなあ。無理に連れ帰ったところで、あいつならまたここへ押しかけてくるから好きにさせたらいい。まあ、夜になっても帰ってこなかったらさすがに見に来るさ」

 広い道を歩くセラム。少年の自宅は郊外であるためか周囲には畑や建築途中の家屋もちらほらと見える。よい散歩道を見つけたかなと思いながらのんきに歩く彼女を背後から見つめる視線。あの緑色のやつを倒せばまた私の勝利が積みあがる。そう考え、少しずつ彼女を攻撃しやすい位置に着いていく。そして、火器を構え、あとは引き金を引くだけだ
「そこまでよ」
 自分の側面から声が聞こえてきた。まさか自分が狙われていたとは。失態に冷や汗をかきながらも横の敵は撃ってくる様子はない。そちらに視線を向けるとそこに居たのは先刻自分が倒した機体だった。先ほどの緊張はどこへやら辻斬りメガミ、テンターは余裕と落ち着きを取り戻していた。
 こいつには一度勝ってる。今度は武装をつけてきたようだがそれでも私と地力の差が埋まるとは思えない。明確に反応速度も加速力もこちらが上なのだ。こいつは実力を示したいのかわざわざこちらに声をかけてきた。馬鹿な奴だ。あそこで不意打ちしてればまだ勝つ見込みもあったろうに。そいつにグレネードランチャーを向けると、思ったよりは素早い動きで距離をとってきた。逃がしはしない。

 相手を近くの廃屋へ誘導したモモカはいよいよ反撃に出ようとしていた。火力もスピードも、おそらく装甲も向こうが上だろう。だがモモカにとってはそれらは戦わない材料にはならない。
 テンターが連射するグレネード弾の雨を巧みな跳躍で躱すモモカ。トリバネアゲハの如き俊敏な動きが彼女の持ち味だ。そして彼女のメイン武装が拳銃型武装「ゾロクス」だ。光弾を3点バーストする機能を持つが、こちらの武装を生かすチャンスはなかなか見いだせないようだ。構えようとするも飛んでくる榴弾に予備動作をつぶされてしまう。直撃こそ避けてはいるものの、至近弾による衝撃は体力を削る。テンターも攻勢に出ている状況に気を良くする。
「躱すので精一杯か?……なにっ!」
 だがそれはモモカの罠であった。テンターの頭上あたりに位置する鉄骨に放置された空き缶。それをトンボ型支援メカ、ヴェインパワーが体当たりで倒したのだ。その中にいっぱいにたまっていた雨水がテンターに降り注ぎ視界を防ぐ。それを見逃さず接近しながら左腕に装備された打撃武器を展開すると、フックパンチで敵背部の増速ユニットをつぶす。流れるようにグレネードランチャーを蹴り飛ばす。これで機動力と火力を削る。特に機動力を削いだことで、戦闘の主導権を一方的に握られることはなくなった。
鮮やかな動きで一気に攻勢に出ようとするが、3度目の打撃はテンターの防御に阻まれる。
(装甲に覆われた左腕は格闘用だったか…。こいつ、遠近両用の武装を積んでいて、それをパワーより小回りで生かすタイプか。根本的な地力は私のほうが上だな)
 モモカの打撃を防ぎながら、自身の優位を再確認し安堵する。大鉈を取り出すと軽々と打撃を受け止め、そのまま押し返す。さらに大型拳銃を取り出し銃撃を再び始める。
「火力も速度も、パワーも!アタシがはるかに上!お前に埋められる差じゃない!やはり私の勝ちは揺るがないな!アタシの勝利!アタシの力!!」
 勝利を確信した高揚と、外部システムによって強制的に加速していく意識に饒舌さが増す。
「まずいわね…早くとめないとあの子の精神がやられる」
 障害物に隠れながら敵の様子をうかがうモモカ。
「テンター!それはあなたの力じゃないわ!力っていうのは──」
 敵への説得を試みるが、途中で言葉はさえぎられる。
「アタシがお前を倒す!それのどこにアタシの力じゃないって文句があるっていうんだ!負け惜しみを!」
 モモカはそれに返す言葉をまだ持ち合わせていなかった。それと同時に自分がここに来た目的を思い出す。相手を助けねばという焦りから言葉を投げかけたが、自分が語る術は、それだけじゃなくてもいいはずだ。

 物陰から飛び出すと相手の足元めがけて銃を連射する。巻き上がった砂煙はテンターの視界を塞ぐ。その隙に再び接近し、打撃を打ち込むかのような動きを見せる。だがこれはブラフで敵の背後からヴェインが接近し体当たりを仕掛ける算段であった。
「何度も同じ手が通用するかぁ!」
 だが敵は背後のヴェインに大鉈でカウンターを仕掛ける。地面にたたき伏せられる支援メカの痛ましい姿を見ても動きを緩めない。だがそれでも、反応速度任せに即座に振り向き、モモカの攻撃よりも速く至近距離で銃の連射を浴びせるテンター。ほぼ密着状態からの大きな衝撃に宙を舞うモモカの体。
「もう私は何者にも負けない。必ず勝てる!そうすれば───そうすれば、どうなるんダ…?」
 敵の動きがわずかな時間だけ止まる。少しずつだが戦闘中の思考能力にも異常をきたしてきているようだ。大きく吹っ飛ばされながらもその隙に距離を取ろうとするモモカ。

 だが状況は狩りの様相へ推移してしまっていた。廃屋の外に追われ、見晴らしのいいところへ。いつの間にか上階で戦っていたのだろう。足場といえば四方に伸びる鉄骨だけで地面がはるか真下に見える。
障害物の少ないところでは単純に攻撃速度がものを言っていた。加速した動作速度と高揚していく戦意に任せ、ひたすら攻撃を乱射する。自分への反動や負担もお構いなしだが、その単純な作業の繰り返しで追い詰めていく。やがて一本の鉄骨上をモモカは後ろから追いかけられる形となった。
「私に優位性があるとしたら、身の軽さね…!」
 敵に対し距離をとると見せかけて、急遽反転し銃を乱射しながら接近するモモカ。どこにそんな余力が残っていたのか、メガミにとっても広くはない鉄骨の上を左右に動き回ってテンターの攻撃を躱していく。そしてある地点で跳躍するとテンターを飛び越え、空中で身を捻りながらながら舞うように銃撃。
「くそっ死にぞこないがマだ!私の力を!小細工デ!!どうにカできるト思ウかあ!!!」
テンターの装甲を確実に削る。削りはする。だが撃破に至らない。そして、テンターも負けじと装甲と速度にものを言わせ反撃に出る。
「うわっ…!」
 無茶な機動が祟ったのも相まって、攻撃を躱したものの足を踏み外してしまう。なんとか左手で鉄骨に捕まり落下だけは避けたがもはや良い的でしかなかった。
モモカへゆっくりと狙いを定めるテンター。モモカも右手で銃を構える。
「本気か?オ前よリ私の方が速い。相打ち狙いにしテモお前は確実に撃ち落さレル、私は一発程度なら耐エられル」
 余裕の態度から放たれた銃弾はモモカの額を捕らえ────なかった。モモカの位置が急激に下がったのだ。代わりにモモカの銃弾がテンターの胸をえぐる。あきらめて嫌がらせとともに手を離したのか?しかしモモカの落下は途中で止まっていたのだ。
(左腕が伸び…?)

 そこでテンターの思考は止まっていた。胸部に再び、まったく同じところに二度目の銃撃を受け、戦闘システムがダウンしたからだ。これがモモカの左腕の本当の機能である、重厚な左腕はその中にヤゴの顎のように折り畳み部分が格納されているのだ。本来は接近戦での攪乱や姿勢制御に多用するものだが、普通に使用したところであしらわれるだけであることが明らかだったため、1回限りの奇襲にすべてをかけていたのだ。
 そしてもう一つ、連日の無理な戦闘が祟り、テンターの装甲と機体には相当な負荷が溜まっていたのだがシステムによる高揚感で自身では気づかずに来ていた。倒れこむ相手を見て、モモカはつぶやく。
「女神が天使に縋った時点で、負けは決まっていたのよ。」
 次に目覚めたときに彼女が己自身の力を誇れることの願うかのように。