フラギイのメモ

Twitterで書き散らしたことを体系化しようとした。

仮面ライダー555感想:13,14話

 カイザの正装着者草加の顔見せだが、そのキャラを通して流星塾生の掘り下げも描かれる。一層目を惹くのは幼き頃からの真理の勇猛さだろう。子供のうちの1歳差は体格差がかなりあるものだが、かなり年上の同級生から草加を守っていた。カイザのベルトが流星塾生複数がかりで管理していたのに対し、彼女は一人でファイズギアを託されていた。それだけ信用されているのが納得できる描写である。

 そしてそんな草加と引き合うのは真理…ではなく巧のようだ。今回の人探しにおける人違い描写。これを勿論草加の人物像を引っ張る意味もあるが、そこに絡むキャラを見ていると、草加雅人といやでも巡り合い接触する巧と、逆にとことんすれ違う真理。これは草加の思惑とは逆に巧との因縁の方が根深くなっていくことの視差だろう。草加が巧に敵愾心を示したのも巧の洞察力を危険視、ある意味では他の流星塾以上に彼を評価しているともいえる。単に巧が草加の有能さに嫉妬してかみついただけなら彼もさわやかに軽く流しただろう。だが、同郷の流星塾生さえ見抜けなかった彼のわずかな動揺を巧は見抜いたのだ。

 それはそれとして見る限り、オルフェノクのことを全く知らない草加がカイザに変身できる。ということは、やっぱりベルトの変身条件はヒーロー的な資質であり、たっくんにもその資質があるということだな!

 洞察力が冴えるたっくんだが、コミカルな描写も多い。草加との折り合いの悪さもだが、その前の様子からしてテニスに乱入したのは格好つけたいだけなのだろう点が愛らしい。フェンシングでのフェイント足払いのシーンなどは派手なエフェクトもツッコミもないからこそ笑えるシュールギャグの典型だろう。

 

 一転してオルフェノクサイド。誰でも一度は「根は良い人」という表現を聞いたことがあるだろう。では根以外は最悪な海堂は?。しかも本人は自分のしたことをすぐに忘れるのに長田と木場は深刻に相談しているのが、より事態の面倒くささを醸し出している。加えて、海堂は真理の誘い方がぎこちない。意外とその手の方はうぶなのか?まあ音楽一筋っぽいからなあ。

 件の長田。“悪人”ならば命を奪うことをいとわない長田。木場はこれを見抜けず「君は人を襲うはずがない」と見誤る。だが、考えてみれば長田の普段の物腰は勿論だが、木場側もかつて「恨んでもいない人を襲えない」といっている。だが、これは言外に恨みがあるなら理解もできるといっているに近い。そして長田はその境遇ゆえに人間全体を恨んでいるともいえる。なるほど恨んでいる対象なら手にかけるのも自然なのだ。長田が人を殺めるのは彼女の精神に根差したことであり連続性のあることなので、それを他人が看破できるような不審点やほころびもうまれないのだ。

 だが、マンションが直接襲撃されないのはきっと長田のおかげなのだろう。スマブレはかなり急進的なやり方で勢力拡大を進めている。反スマブレ派オルフェノクが団結すれば危ういはずだ。その状況においてスマブレにとって有益な人材の生活を脅かしたとあっては求心力と大義名分を失う。なので、できる限り外で木場や街道だけを狙おうとするのだろう。

 彼女はセンチピードオルフェノクと戦闘になったときも逃げずに最後まで戦おうとしている。殺意のベクトルはどうあれ、同時に木場たち同族を守ろうとする勇猛さも持ち合わせるようになった。

 

 今回引き続いて台詞が増えてきたラッキークローバー。ドライな作風の555において「フフフあれがファイズか…」とベタな四天王をやる琢磨と影山はかえって特徴的に映る。レギュラーキャラがおおい555において、これ以上バックボーンの方向から見せても情報過多になると判断してのことなのだろう。ジェイも含めてわかりやすく四天王をすることで、ライダーサイド・オルフェノクサイドのレギュラーとの立ち位置の差異を見せている。

 

ファイズ&オルフェノク

 草加が使うことで本領を発揮するカイザ。今までもG3Xのセッティング問題などでその見せ方はあったものの、カイザでは正装着者の登場をかなりもったいぶって引きとしたのが面白い。今までのカイザもパワー描写で強さはアピールしていたが、草加がまとうことでようやく本領発揮しているのを上手く見せている。光の拘束弾もかなりカッコいい。結果的にワニを2回も倒すのはかなり豪華な見せ場だろう。

 水というより泥をかぶりながら戦うファイズ。なんだか淫靡なものを感じる…というのはさておいて、これはスマートに戦う草加カイザとの“泥臭い”差別化だろうか。

 

 エキセタムオルフェノクはワニの部下と思しき部下1でしかないがその辺はカイザ周りの連続ドラマをテンポよく見せるための割切りだろう。オルフェノクがなぜ人を襲う側になるかはマンション3人組・オウル・スネイルなど様々なパターンで既に見せている。そこから今回のツクシのようなキャラまで出る度描いていくのは確かに連続ドラマのテンポを崩す。それでいてツクシを僧兵や虚無僧のように昇華したデザインは見事だ。

 センチピードは同じ階段状のディテールを繰り返すことでムカデを表現しているのが面白い。かつて象の鼻を兜の錣のように昇華したエレファントオルフェノク同様、動物をそのまま乗せると肥大化してしまうモチーフをスマートに乗せる手法が面白い。オルフェノクとしては並のスネーク相手には生身のままで戦えるがホース相手には変身するのが彼我の実力差の開き具合を絶妙に表している。