フラギイのメモ

Twitterで書き散らしたことを体系化しようとした。

仮面ライダーアギト感想:第11,12話

感想は書いてるうちにこの回で描かれているのは「手段と目的」なのかなと思った。


翔一
 過去を知ることが怖いのか美杉たちの記憶を取り戻すはからいをはぐらかす翔一くん、人並みに恐怖や人間臭さもあることは以前から描かれている通り。しかし、その一方で篠原佐恵子に関して幻想で生きるのはおかしいという強さもある(勿論彼は彼はそれを実行できている。警察や軍人のように心構えを長期的に身に着けたわけでもない者が自然体でアンノウンと戦い日常生活を営めているのは強さ以外の何者でもない)。その両方が同居するどこか多面的とも歪とも言える人格に見える。やはり記憶喪失になった経緯に原因があるのか。 
 また、今回で翔一がアギトの出自に関して触れているが世間話程度でそこまで真剣に探る様子はなさそうだ。やはり根本的には気にしてない。
 超能力を氷川以外に明かしていないという真魚。やはり異能としての行動としては翔一より幾分常識的だが、翔一くんのために明かせる勇気はやはりすごいと言わざるを得ない。
 居候をいじるときにまなちゃんを含めない太一。思いやりがあるのか子供故に思考に入ってなかっただけなのか…どちらにせよその辺うまくやれてしまうから憎めないキャラなのだという絶妙なバランス。

氷川
 G3を着ていなくてもG3の武器を使ってアギトを援護する氷川。ここがG3を着ていたにも関わらず逃げた北條との対比か。しかしだ、北條も捜査一課にいた頃は拳銃一丁でアンノウンに立ち向かっていたから勇気はあるはず。ということは、これは単純に勇気の有無だけでなく、「力を持ったときにそれを軸に頼ってしまうか、あくまで自分の一部として対等に見るか」の差なのだろう。氷川は捜査一課に戻ってもアンノウンの謎や戦う道や探ると言っているのに対しそもそも北條は普段からG3を「手に入れること」を目的としているフシがある。
 それを示すように、北條はアンノウンを倒すために命令違反承知でG3で出撃している。ここからわかるとおり勇気や正義感はあるのだ。でもそのあとそれをおとなしく受け入れずばっちり言い訳を並べる良い根性もさすがの北條なのだが。

 また今回は保護対象者そっちのけでアギトを捕獲しようとする北條を殴る氷川を見られる。此処は別の場所において、人の弱さに気づけず生き方を押し付けようとする翔一を殴って止める葦原とつながっている場面だ。一見バラバラだが他者を思いやれるという点では共通しているのだ。
  
 この辺りから北條と氷川の対立というより、氷川を介した北條と小澤の張り合いという様相が強くなってくる。G3チームの司令塔たる小澤の存在感たっぷりだ。

葦原
 あかつき号を追うという彼。翔一たち他の人物にとっては、あかつき号の真相の奥にある秘密を知ることで今の自分の原因と今後を知る、つまり手段なわけだ。一方で、葦原にとっては追う「行動」が目的となっているように見える。ここまでを見ると今のところの彼は水泳の復帰、彼女の護衛、父の死因の解明と短期的な目先の目的を捉えることで動いている(対コブラ戦後、戦う理由がなくなったら所在なさげに家にいたのが象徴的だ)。彼は目的・目標がなければ生きられない人間なのだ。
 氷川の項目で目的と手段の話をしたが、ここでもあかつき号を追うことは自分の過去を知る手段となる翔一(手段となるだけで追う気があまりないのだが)とあかつき号を追うことそのものが目的となっている葦原。この辺でも対称的であろう。
 また、あかつき号関係者の篠原佐恵子を守るためとはいえ、他人のために身を削るギルスに変身するあたり根の人の良さが垣間見える。
まだ大学を辞めたばかりでまだ若者の彼だが幻想のなかで生きることに(理解はできずとも)尊重する様子を見せる。勿論他者を思いやれるという面もあるが、どこか自身も擦り切れていて佐恵子に感情移入しているようにも見える。

あかつき号関係者
 まがりなりにも研究資料を素人が触ることを許すのはやはり変。このあたりでも怪しさを演出できている。
 佐恵子はよく見ると葦原の話をはぐらかすばかりでなく、翔一と顔を合わせようとしない(真魚の質問を聞いてる体を装っているがうまいこと翔一の顔を正面から捉えようとしない)。やはり真相を知ってはいるが思い出しくないのだ。このメインキャラ同士が素性を知り合って認識し合うのではなく、あかつき号という軸を中心に繋がっていく構造がアギト独特だ


アギト&アンノウン
 G3の拳銃、以前は全く聞かなかったのが今回はシマウマの気をそらすことに成功。やられてるイメージの強いG3だが毎回同じ負け方をしてるわけでなく少しずつ耐える時間が長くなったり武器が効くようになってきている。
 どうやらギルスの感知能力は低い、もしくは不安定(近い距離でしか感じ取れない?)。そのためアギトとは別行動になるし、そこでアンノウン出現時の行動に違いが出て互いの素性に気づかないすれ違いが描かれるのが見事だ。登場2回目だからか危なげなくアンノウンを倒すギルスも頼もしい。
 シマウマアンノウンは単体でも白黒模様にするのではなく白&黒をそれぞれだして2体画面に出てきたときにシマウマときづく遊び心が上手い。一体一体はアギト・ギルスよりちょい下。連携すると厄介くらいの強さと言ったところか。それはそれとして血が出なければミイラはいいのだなニチアサ

 以前、某動画サイトの配信で鈴村監督が、翔一・葦原の泳いだ湖は水温が低すぎて溺死体が上がらず沈むため、現地民にそこで泳ぐのは正気じゃないと言われたそうだ。賀集さん、友井さん命張ってるなあ…

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